YouTubeのスパムコメントを止める5層の設定
いまのコメントスパムは何をしてくるのか
YouTubeのコメントスパムは、以前のような無意味な文字列ではなくなりました。現在の主なパターンは3つです。
- クリエイターへのなりすまし: チャンネルのアイコンと名前をそのまま複製し、「当選しました」と告げてWhatsAppやTelegramへ誘導します。
- 投資・暗号資産の詐欺: 複数のアカウントで会話を自作し、特定の「先生」に運用を相談する流れを演出します。
- 視聴者アカウントの詐取: タイムスタンプに見せかけたフィッシングリンクを貼ります。
放置した場合に失われるのは、コメント欄の快適さだけではありません。あなたを信頼している視聴者が詐欺の対象になります。以下は5層で構成した対策です。
第1層: 自動フィルターを「厳しく」する
YouTubeには、疑わしいコメントを公開前に保留する仕組みが標準で用意されています。
- YouTube Studio(studio.youtube.com)を開きます。
- 左下の「設定」→「コミュニティ」→「デフォルト」を開きます。
- 「チャンネルのコメント」で「不適切な可能性があるコメントを保留する」を選びます。
- 「厳しさを増やす」にチェックを入れます。
この設定では、判定のしきい値が上がり、疑わしいコメントや繰り返しのコメントが保留キューに入ります。
第2層: リンクを含むコメントを保留する
収益を目的としたスパムには、ほぼ必ずクリック先が必要です。つまりここで大半を止められます。
- YouTube Studio で「設定」→「コミュニティ」→「自動フィルタ」を開きます。
- 一番下の「リンクをブロック」にチェックを入れます。
有効にすると、URLやドメインを含む新しいコメントは自動的に保留されます。この設定は視聴者のコメントにのみ適用され、チャンネル所有者とモデレーターのリンクは対象外です。
第3層: ブロックワードを「語」ではなく「句」で登録する
ここが最もつまずきやすい層です。YouTubeは登録した語を「含む、または近い」コメントを保留しますが、この判定はかなり緩やかです。短い一般的な単語は、より長い単語の内部や、想定していなかった文脈でも一致します。
技術系や金融系のチャンネルで「暗号資産」を登録すれば、コメント欄の大半が保留されます。「シグナル」を登録すれば、シグナルという語を含むあらゆる議論が消えます。
そのため、単語ではなく句で登録してください。
- ほぼどのチャンネルでも安全: whats app、whatsapp me、telegram me、t.me/、text me on、当選しました、おめでとうございます 当選、マネージャーまでご連絡
- 自分の扱う話題でなければ追加: forex、binary options、guaranteed profit、fund recovery、trading signal
- 扱いに注意: 一般的すぎる単語、自分の分野の専門用語、視聴者が普通に使う言い回し。
登録の詳細と、どの語が過剰に反応するかはブロックワードの一覧をまとめた記事で扱っています。
第4層: 信頼できるモデレーターを指定する
コミュニティ設定でモデレーターを指定すると、その人はあなたのチャンネル上でコメントを削除し、ユーザーを非表示にできます。長く見てくれている視聴者を指名するのが一般的で、あなたが寝ている時間帯の対応が現実的になります。
指定できる権限は限定的です。モデレーターはコメントの削除と非表示を行えますが、動画の編集、収益設定の変更、チャンネル設定の変更はできません。渡す権限としては小さく、時差のある視聴者層を持つチャンネルでは効果が大きい部類です。
あわせて「承認済みユーザー」の指定も検討してください。ここに入れた人のコメントは、フィルターを通さず常に公開されます。常連が保留に巻き込まれ続ける状態を防げます。
スパムの波が来ている最中の対処
設定は予防であり、いま起きている問題は別途止める必要があります。順序としてはこうなります。
- まず個別のアカウントを非表示にする。 削除ではなく非表示にすると、そのアカウントの過去の書き込みも含めてすべてが他の人に見えなくなり、相手には通知されません。削除は一件ずつで、相手は書き直せます。
- 次に報告する。 非表示はあなたのチャンネル内だけの措置です。報告は、そのアカウントに対するYouTube側の対応につながります。
- その動画だけ一時的にコメントを保留にする。 チャンネル全体の設定を変えるより影響が小さく、波が過ぎたら戻せます。
- 固定コメントで先に伝えておく。 「当選連絡をWhatsAppやTelegramから送ることは絶対にありません」と書いておくと、なりすましが成立しにくくなります。
第5層: 約束したものは自動で届ける
フィルターでは解決できない部分がひとつ残ります。動画で「この単語をコメントしてください」と案内した場合、その一件ずつに応答が必要になります。同じリンクを50件の返信に手作業で貼る行為は、スパム判定が探しているパターンそのものです。
ReplyTideは、告知したキーワードに完全一致したコメントにのみ反応し、あらかじめ用意した返信を公式のYouTube Data API経由で投稿します。Google OAuthで認可され、ブラウザセッションを操作するものではありません。
ただし、公式APIを使うことがスパム判定の免除を意味するわけではありません。返信の文面自体がスパムに見えないことと、トリガーを狭く保つことは、依然としてあなたの責任です。
5分で終わる設定手順のまとめ
- コメントを「保留する(厳しさを増やす)」に設定する。約30秒。
- コミュニティ設定で「リンクをブロック」にチェックを入れる。約15秒。
- ブロックする句の一覧を貼り付ける。約1分。
- 保留キューを毎週空にする。60日で自動削除されるため、開かないキューは正常なコメントを消し続けます。約2分。
- 何が引っかかったかを確認する。承認ばかりしているなら、登録した語のどれかが広すぎます。約3分。
よくある質問
なりすましへの最も速い対処は何ですか?
「チャンネルで非表示」にしたうえで、スパムまたは詐欺として報告してください。非表示にすると、そのアカウントがあなたのチャンネルで書いた内容がすべて他の人から見えなくなり、相手には通知されません。報告は、あなたのチャンネルの外での対応につながります。
リンクのブロックは、自分の投稿にも適用されますか?
適用されません。「リンクをブロック」は視聴者のコメントにのみ適用されます。チャンネル所有者と指定したモデレーターは、固定コメントや返信で自由にリンクを投稿できます。
スパムコメントで収益化が止まることはありますか?
他人が書いたコメントはあなたのコンテンツとして扱われず、それ自体で動画の収益化が止まることはありません。実際の損失は別のところにあります。詐欺の対象になるのは視聴者であり、失われるのは読む価値のあるコメント欄です。